事件・事故等の概要

平成28年8月2日

治安情報

カタール当局が治安対策に力を注いでいることもあり,カタールの治安は比較的良好といえます。人口比で見ると警察官の数は日本よりもはるかに多いことに加え,国土が狭く監視が行き届きやすいこと,また国土の多くが人の住めない砂漠という地理的要因,さらには就労目的で入国する外国人を対象とした厳格な「スポンサーシップ制度(身元保証人制度)」を施行していること等が,良好な治安を維持できる要因であると思われます。また,アラブ人の部族的連帯が強いことも,治安の良さにつながっています。

一方で,近年の急激な経済成長を背景に,海外からの人口流入が急速進んでおり,アジア諸国出身者を中心とする単身の単純労働者が多く在住するようになっております。こうした外国人(全人口の約7割程度)によるとみられる窃盗,強盗,車上荒らし,スリなどの犯罪が増加傾向にあり,特にドーハ市郊外の一部地区では犯罪が多発していることから,治安当局が取締りを強めています。 特に最近では,当地に居住している外国人単純労働者が,母国から仲間を「観光目的」と称して引き入れ,短期間で空き巣や強盗を繰り返し,検挙される前に出国してしまうという,いわゆるヒット・アンド・アウェイ方式の犯罪も増加しています。

ひったくり、置き引き、スリ

近年,ドーハ市内一部地区でひったくり事件の発生が報告されており,中には,これらひったくりが強盗に発展したケースもあります。当地では,酷暑の時期が長いため一般的にオートバイはほとんど使われておらず,ひったくりもオートバイによるものではなく,徒歩によるものがほとんどです。
  •  裏通りで人通りの少ない道路を歩く時は注意をする。
  • ハンドバッグ等は持ち方に気をつけるとともに,周囲にも注意を払う。
  • 万が一被害に遭った時は,大声を上げて,周囲の人に知らせたり,すぐに警察(999)に連絡する。
犯人の特徴などをよく覚えておくことが大切です。 また,好調な経済発展を受けて,当地では近代的な大型ショッピングセンターが続々と建設されていますが,最近これらショッピングセンター周辺で,主として外国人女性が被害者となった置き引き事件が報告されています。 ショッピングセンターを利用される際には,ショッピングカートの中に貴重品を放置しない等と共に,周囲に不審者がいないか等にも十分ご注意下さい。 さらに,ドーハ市中心部の人通りが多い場所(スーク等)においては,スリ被害の発生も報告されています。当局も取締りを強化しており,アジア系外国人労働者によるスリ・グループが検挙されるなどしています。  しかし,いまだに被害の報告があることから,同様の別グループが活動しているものと思われます。人通りの多い場所では,周囲に不審者がいないかどうか十分注意するとともに,親しげに話しかけてくる人物やグループにもご用心下さい。

交通事故

近年,交通事故件数が減少したとの報道もされてはいるものの,車線を守らない,ウインカーを出さずに突然曲がる,無理な割り込みや追越しを行う,制限速度を大幅に超えて運転するなどの行為は依然として見受けられ,当地の交通マナーが大幅に改善されたとは言えない状況であり,当地での運転には引き続き十分な注意が必要です。

また上述したとおり,当地の人口の約7割が外国人であることから,出身国の運転の習慣やマナーもまちまちであり,こうした点からも日本の運転の常識とは違うということに留意してください。 当国では車は右側通行です。交差点の多くは信号機を使わないロータリー(英国式ラウンドアバウト)で,ロータリーの中を走っている車が優先です。

最近,交通量の多いラウンドアバウトには順次,信号機が設置されています。また,信号機がある主要交差点には,赤信号無視を取り締まるカメラが設置されています。 速度制限は街中で60~80Km/h、郊外で100~120Km/hというように,かなりの高速に設定されていますので,運転には十分に気をつけてください。

飲酒運転は,自己及び他人に危険を及ぼしますので絶対にしないで下さい。飲酒運転に対しては,強制退去処分を含む厳しい罰則が規定されています。 交通取締りは,上記主要交差点での自動監視装置による信号無視の取締り,主要幹線における固定式及び移動式レーダーによるスピード違反の取締り,市街地での駐車違反取締り等が行われています。 そのほか車の運転に当たっては次のことに注意をすることも必要です。
  • 運転手及び助手席は常時シートベルトを締めることが義務付けられており,違反者は罰金の対象となります。
  • 10歳未満の子供は後部座席への着席が義務づけられており,違反者は罰金の対象となります。
  • 運転中の携帯電話の使用は禁止されており,違反者は罰金の対象となります。
  • 夏季,日中は路面が高温になっている影響で,タイヤがパンクしやすくなっています。特に高速運転を行う場合には注意が必要です。
  • 郊外を走る場合には,単独行動は避け,必ず複数の車で出かけるように心がけ,夜間はなるべく一人で運転しないようにしてください。
  • 軍事施設,工業施設等に入るためには事前の許可が必要です。軍事施設等の立入禁止区域の標識は,アラビア語でのみ標記されているケースが多いので,郊外のドライブは十分注意する必要があります。

※ 観光地であるアル・ズバラ・フォート(古い城塞)の近くには軍事施設がありますので,ご注意ください。

交通事故に巻き込まれたら

交通事故に巻き込まれてしまった場合,負傷者がいる場合は,救急車などが到着するまでの間,可能な限りの応急手当を行うことが必要です。警察や救急(電話番号は共に999)に,事故の発生場所,負傷者の数や負傷の程度,事故の状況など報告し指示を受けてください。 事故を起こした車については,警察官が現場検証に来るまで,交通の障害になったとしても動かしてはいけないこととなっています。車を移動させてしまった場合,保険に必要な事故証明が発行されなくなることになります。したがって,事故車を移動させずに,その状況に応じ臨機応変に事故の続発を防止する措置をとることが望まれます。ただし,新道路交通法の施行により,軽微な事故の場合は,他の交通を妨げないように適当な場所へ車を移動させなければならなくなりました。 以上を踏まえて,具体的な車両の移動については,警察官の指示に従うようにしてください。なお事故現場で,処理に当たった警察官からアラビア語しか書かれていない書面に署名するよう求められるケースがありますが,記載された内容が確認できない場合は,安易に署名しないように注意してください。もし警察官がどうしても署名を強いるような場合は,大使館までご一報願います。